著者:リンダ・グラットン 、翻訳者…池村千秋 出版社:プレジデント社
*下流民か、自由民か。地球規模で人生は二極分化する*
2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
ロンドン・ビジネススクールを中心とした、「働き方コンソーシアム」による、世界規模の研究が生々しく描き出す2025年のに働く人の日常。
「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。
どちらの人生になるかは、〈ワーク・シフト〉できるか否かにかかっている。
働き方が変わる! 〈5つのトレンド〉
●テクノロジーの発展
●グローバル化
●人口構成の変化と長寿化
●個人、家族、社会の変化
●エネルギーと環境問題
働き方を変える! 〈3つのシフト〉
●ゼネラリスト→連続スペシャリスト
●孤独な競争→みんなでイノベーション
●金儲けと消費→価値ある経験
「食えるだけの仕事」から意味を感じる仕事へ、忙しいだけの仕事から価値ある経験としての仕事へ、勝つための仕事からともに生きるための仕事へ。覚悟を持って選べば、未来は変えられる。
本書は、今後の世界に起こる変化を丁寧に整理した上で、そうした近未来の社会における人々の労働のありかたについて、各種予測に基づいたアドバイスを行うものです。
未来を見据えたキャリア開発の方向性にまで言及を行っているので、ビジネスパーソンはもちろん、教育関係者にも是非とも読んでいただきたい本です。
・2010年に、中国が45カ所の空港の建設を進めていたことをご存知だろうか。
携帯電話を使用した送金システムのイノベーションを牽引しているのがアフリカのケニアだと、ご存知だろうか。
2025年までに、世界の50億人以上が携帯電話で結びつくようになると、ご存知だろうか。
本書では、このようなデータや情報をふんだんに紹介する。(p30)
本書が行っている多数の未来予測の中で、個人的に特に気になったものを以下にピックアップしてみます。
・寿命は長くなるが、高齢者の多くに働き口がなく、グローバルに貧困層が形成されるおそれがある。
・家族のありかた、仕事で接する人の多様性が高まり、自分を見つめ直す人が増える。
・エネルギー価格が上昇し、モノの輸送や人の移動を減らす必要性が高まる。これを受けて、さらなるバーチャル化が進む。
・職種や時差を超えて世界中の人との恊働が求められるようになり、時間の「細切れ化」が進む結果として、時間に追われるようになる。
・政治家や司法制度、大企業に対する信頼が弱まる。また、個人の幸福感は減退する。
・2025年には、世界中で何十億人という人々が「ミニ起業家」として働くことになり、そのための仕組みが充実する。
本書の後半では、こうした社会を生き抜くための3つの資本とその強化施策についてまとめています。
3つの資本とは「知的資本(知識と思考力)」「人間関係資本(人的ネットワーク)」「情緒的資本(勇気ある行動のための精神的な強靭さ)」です。
このそれぞれについて1章を割いて、丁寧な解説を加えています。
どのページを開けても、自分と子供たちの将来に対してなんらかのヒントを得られるような本であり、値段は少し高めですが、買って手元に置いておきたい1冊です。
未来を形づくり、人々の働き方に影響する「5つの要因」として、1.テクノロジーの変化、2.グローバル化の進展、3.人口構造の変化と長寿化、4.社会の変化、5.エネルギー・環境問題の深刻化 が挙げられる。
そして、暗い未来のシナリオを書き換えるためには、新しい能力を身につけることが必要不可欠となる。
5つの要因をもとに、リンダ・グラットンは2つの未来の状況(「漫然と迎える未来」と「主体的に築く未来」)を掲げる。
(1) 漫然と迎える未来とは、
1.いつも時間に追われ続け、孤独に苛まれ、新たな貧困層が生まれる未来
2.世界は二極化し、中間層の仕事はテクノロジーによって取って代わられる
3.仕事も在宅勤務がほとんどになり、孤独を感じる
(2) 主体的に築く未来とは、
1.皆が協力的(コ・クリエーション)で、社会が相互に積極的に関わりあいながら
生活しており(共感とバランス)、人々は充足感のある暮らしを営んでいる
2.ミニ起業家が活躍し、創造的な人生を切り開くことができる
「主体的に築く未来」に向かうためには、3つのシフトが必要である 。
第1のシフト: 知的資産シフト ゼネラリスト ⇒ 連続的スペシャリスト
・未来に価値を持ちそうな技能を念頭に置きつつ、自分の好きなことを職業に選ぶ
・その分野で専門技能に徹底的に磨きをかける
・習熟後も、移行と脱皮を繰り返してほかの分野に転進する覚悟を持ち続ける。
第2のシフト:外部環境シフト 孤独な競争 ⇒ 協力して起こすイノベーション
重要なことは、未来に必要となる三種類の人的ネットワークを築き上げること。
・「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」
・「ビッグアイデア・クラウド(大きなアイデアの源となる群集)」
・「自己再生のコミュニティ」
第3のシフト: 精神資源シフト 大量消費 ⇒ 情熱を傾けられる経験の要点
古い仕事観では、会社が選択をしてくれたが、未来では自分自身で選択する意思をもたなくてはならない。
仕事に対する考えを、さらには企業と働き手の間の「契約」の中身を根本から〈シフト〉させる必要がある。
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